この写真は2017年スーパーGT鈴鹿1000kmラウンド決勝で撮影したものだ。
夕暮れが始まった時間、スプーンカーブで西向きに太陽に向かって撮影。
印象的なシーンだったが、夕暮れ時の撮影ではカメラ内でWB補正されて思ったような色に仕上がらないことが多い。
また、逆光の眩しい感じも表現したい。
それらの点を中心に現像していく。
▽RAWを開いた状態。
やはり、WBが補正をされているのか寒々しい写りになっている。
また、この時使ったレンズであるキヤノンEF85mm F1.8はかなり設計の古い廉価系のレンズであり
非常に逆光耐性が低く奥の森の影のコントラストがかなり低下している。
ただ、光がにじんだようになっているのはこの写真ではいい効果になるので、
ことさらにコントラストを取り戻すような処理はしない予定。(思い付きで現像をしている)
▽さっそく段階フィルタを用いて夕焼けの色を強調する。
カラーを使う方法もあるが、夕焼けなので単に色温度の調整で黄色みを足した。
明瞭度を下げて背景の森と夕焼け色の部分の境界線を滲ませる。
ハイライトはこの場合空の明るさの調整でスライダを動かしている。明るくあるべきところは明るくする。
▽露光量を上げ、黒レベルを下げる。
引き続き段階フィルタの調整。
全体の露光量をあげ、黒レベルをその分足してメリハリを調整する。
ここは本当に好みとしかいいようがないところなので、流し撮りの大きな背景は自分がどうしたいかのビジョンを持ち
それに近づけるにはどのようにすればいいかを考えながら試行錯誤するのが大事だ。
▽円形フィルタで車体周辺を補正。反転にチェックが入っていることに注意。反転にチェックを入れると円形フィルタの「内側」の補正になる。
明瞭度を上げ車体をパキっとさせる。
特にレーシングカーのように車体に多数のメーカーロゴなどの細かい文字がのっている被写体には明瞭度を上げるのは非常に有効な手段だ。
一つ一つの文字が綺麗に浮かび上がる。
▽あまりにも車体周辺が暗いので露光量を上げる。
が、明らかに不自然になってしまったので、これはいったんもどして、
▽彩度をやや持ち上げておく。
補正の結果が不自然にならないようにとわざと大き目の円形フィルタで補正していたが、
露出を調整すると道路まで引っ張られてしまい逆に不自然になってしまうので、
このあと小さめの円形フィルタを追加して車体をピンポイントで補正する。
▽小さめの円形フィルタを作成、再度反転にチェックをいれ車体を補正する。
ここでは単純にシャドウを持ち上げ、その分コントラストを上げる方法で車体を持ち上げた。
また、スバル車らしい綺麗なブルーを強調したいのでやや強引な方法だが色温度の補正を青色よりにする。
これでかなりBRZの綺麗なブルーが出た。
▽夕陽の眩しい感じを強調したいので、大きな円形フィルタでカラーを追加する。
これまでと同様に円形フィルタ内側についての補正になるので、反転にチェックが入っていることに注意。
▽さらに夕陽を強調するために白レベルを大胆に上げるが、これはやりすぎと判断し、、
▽戻す。
▽センサのゴミをスポット修正で消す。
サーキットでレンズを交換しながら流し撮りをしているとどうしてもセンサにゴミが付着し
さらに流し撮りは通常かなり絞り込んで行うのでそれが写りこみやすく
さらにさらに悪いことには流れている背景の中でセンサの汚れが点で表示されるのは非常に悪目立ちするので、気になるものは必ず修正する。
▽最後にやるようなことでもないが、念のためレンズ補正パネルより、「色収差を除去」「プロファイル補正を使用」にチェック。
プロファイル補正を使用すると、歪曲収差を修正してくれるので有効なのだが、
ここでレンズ特有の周辺減光も補正される。
流し撮りは絞り込んでの撮影なのでそれほど影響はないが、
周辺減光も表現の一部として現像をしていると、最後の最後にプロファイル補正にチェックを入れると一気に補正されて全然違う絵になってしまうことがある。
ので、これは通常最初にチェックしておきましょう。
このようになった。
まだまだセンサの汚れが見えるので本来はもっと追い込んでセンサのゴミを消していく必要がある。
あまりに量が多いときにはフォトショップでちょちょいとズルをして消すこともあるが、それはまた機会があれば別エントリにて解説する。
この時のスーパーGTの他の画像はこちら
もし他に「これの現像も解説してほしい」という写真があれば手元にRAWデータが残っているものについては解説していくつもりなので
コメントなどで教えて下さい。
現像シリーズのエントリ
おわり